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期末決算対応その④支払調書って何?(報酬、契約金、不動産使用料の支払調書)

期末決算対応その④支払調書って何?(報酬、契約金、不動産使用料の支払調書)

営業代行、サービス開発委託、生産(OEM)、入出荷代行、経理委託、広告運用代行、デザイン・コーディング外注と会社業務の全てを自社に内製化するのではなく、会社は企画、販売、上流工程に特化して、他の工程を協力企業、派遣技術者、フリーランスと分業、分担して業務デザインするのが今の流行りです。

要は固定人員、設備、機能を持たずに、身軽な会社形態にて事業を進めていくこということ。

事業資金の足りない設立初期段階や、少ないリソースでとりあえず始める新規事業、副業によるスモールビジネスなど、近年はよく目にします。

クラウドワークスでフリーランス、フリーライターを見つけてきたり、個人事業主の専門家に仕事を頼んだり、コーディングだけ知り合いに頼んでみたり。

ところが、所得税を源泉徴収した残額を業務委託費として支払って終わり、とはなりません。

支払をする側(委託者)には「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を、報酬等を支払った翌年1月31日までに税務署に提出する必要があります。

大きな会社に勤めているときは、私も支払調書の事は全く知りませんでした。でも、いざ支払調書を業務受託者として交付して貰う立場になると、こちらから説明していることが多々起きています。

源泉徴収、年末調整、確定申告は周知でも、支払調書等の法定調書に関してあまり知られていません。

税務署よ、もっと啓蒙活動に勤しんでくれ!という切なる願いを込めて。

今回の記事は、あまり知られていない支払調書、法定調書の概要と、時には提出総数100枚を超えかねない支払調書の作成方法のあれこれについて書いていきます。

LowですLow。いつの間にか顧問税理士事務所が出してくれてたりするのかな?

支払調書とは?

支払調書とは、税務署に提出が義務づけられている法定調書の1つです。所得税法、相続税法他に規定する法定調書だけで全60種類ありますが、毎年の頻度の大きいものは以下の6つです。

1 給与所得の源泉徴収票
2 退職所得の源泉徴収票
3 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
4 不動産の使用料等の支払調書
5 不動産等の譲受けの対価の支払調書
6 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書

1と2は年末調整の際に、その年度の源泉徴収票として目にしたことがあるはず(会社は、給与支払報告書として税務署への提出義務があります)。

したがいまして、3~6の支払調書、中でも作成頻度の多い3の「報酬、料金、契約金および賞金の支払調書」を指すことが多いです。

4もありがちですが、個人大家さん向けのものなので、実際の頻度は多くないのかもしれません。

報酬、料金、契約金および賞金の支払調書

「報酬、料金、契約金および賞金の支払調書」は、個人事業主、フリーランスなど個人の取引先に対して業務報酬を支払った場合に、支払側が作成し、税務署に(要望があれば業務受託者に控えを)提出するものです。

つまり、個人事業主、フリーランスなど個人の取引先に対する源泉徴収票のようなものですね。従業員に対して交付する給与支給の源泉徴収票と同じイメージです。

対企業であれば先方も税務申告もしっかりしているでしょうが、対個人だと税務対応は不十分かもしれず(申告していないかもしれず)、業務報酬を支払う側から、個人事業主の事業所得の把握を税務署に対して担保する制度です。

(とすると税務署がチェックしているのは、支払調書が提出されているが申告をしていないケース?)

源泉徴収義務者(支払調書の作成義務者)

源泉徴収の義務者は、人を雇ったり、専門家に報酬を支払う場合に、その支払の都度、支払金額に応じた所得税及び復興特別所得税を差し引き、代わりに納付する法人及び個人となります。

しかしながら、常時2人以下のお手伝いさんのような家事使用人だけに給与を支払っているケースや、自己の個人の給与所得に対して確定申告などをするために税理士に報酬を支払うケースなどは、源泉徴収をする必要はがありません。

言い換えれば、従業員を雇っておらず給与の支払がなければ、源泉徴収義務者には該当しません。

このような場合、支払調書の作成義務はありません。

支払調書の提出範囲

源泉徴収の対象となる外注業務は以下のように規定されています。

(1) 外交員、集金人、電力量計の検針人及びプロボクサー等の報酬・料金、バー、キャバレー等のホステス等の報酬・料金、広告宣伝のための賞金については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50万円を超えるもの
(2) 馬主に支払う競馬の賞金については、その年中の1回の支払賞金額が75万円を超えるものの支払を受けた者に係るその年中の全ての支払金額
(3) プロ野球の選手などに支払う報酬、契約金については、その年中の同一人に対する支払金額の合計額が5万円を超えるもの
(4) 弁護士や税理士等に対する報酬、作家や画家に対する原稿料や画料、講演料等については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が5万円を超えるもの
(5) 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50万円を超えるもの

(1)の歩合制販売員、(4)の専門家報酬、フリーランスへの報酬などをよく目にしそうです。

支払調書の提出時期

「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」は、上記提出範囲に該当するものを、支払った年の翌年の1月31日までに所轄税務署へ提出しなければなりません。

作成時期は1月いっぱいです。

あれ、カッコつけて外資系企業みたく12月決算にするんじゃなかったな。会社の期末決算と個人の確定申告と同時に、支払調書の対応は辛いものがあります。

不動産使用料等の支払調書

「不動産の使用料等の支払調書」を提出するのは、不動産、不動産の上に存する権利、総トン数20トン以上の船舶、航空機の借受けの対価や不動産の上に存する権利の設定の対価の支払をする法人と不動産業者である個人の方に対する賃借料の支払がある場合です。

ただし、不動産業者である個人のうち、主として建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業を営んでいる方に対する支払の場合は、提出義務がありません。

また、「不動産の使用料等の支払調書」の提出範囲は、同一人に対するその年中の支払金額の合計が15万円を超えるものとなります。それ以下であれば提出は不要となります。

なお、不動産の使用料等には、土地、建物の賃借料だけでなく、次のようなものも含まれます。

(1) 地上権、地役権の設定あるいは不動産の賃借に伴って支払われるいわゆる権利金、礼金
(2) 契約期間の満了に伴い、又は借地の上にある建物の増改築に伴って支払われるいわゆる更新料、承諾料
(3) 借地権や借家権を譲り受けた場合に地主や家主に支払われるいわゆる名義書換料

また、催物の会場を賃借する場合のような一時的な賃借料、陳列ケースの賃借料、広告等のための塀や壁面等のように土地、建物の一部を使用する場合の賃借料についても、個人の方に対する支払がある場合には支払調書を提出します。

支払調書の書き方

法定調書合計表(総括表)

「法定調書合計表」は、法定調書を提出する際に使用する総括表、表紙として使用します。

提出する法定調書の種類ごとに「個人の人数」、「法人の社数」、「支払金額」、「源泉徴収税額」を区分ごとに総額をまとめて記載します。

法定調書合計表はとりまとめとして添付され、法定調書類の表紙の役割を持っています。

「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」のみならず、上記6項目の総まとめを記載します。以下、再掲。

1 給与所得の源泉徴収票
2 退職所得の源泉徴収票
3 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
4 不動産の使用料等の支払調書
5 不動産等の譲受けの対価の支払調書
6 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書

ちなみに、法人に対して支払った報酬等も、源泉徴収をしていなくても上記3の外注業務(所得税法 第204条第1項に該当する業務)に対する報酬であれば、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の記載対象となります。

個人税理士(源泉徴収有り)、税理士法人(源泉徴収無し)のいずれも各欄に記載し、支払調書を提出するということです。

「不動産の使用料等の支払調書」も同様に、個人事業主に対する支払がある場合には、法人も含めて記載します。ただし、法人として記載するのは権利金、更新料等のみとなります。

支払調書(個別票)

報酬や料金の名称、明細(支払回数含む)、報酬の支払総額と、源泉徴収した額を記載します。

受託者が個人であればマイナンバーを記載(その目的のために聞き出す必要があり)、法人であれば法人番号を記載します(国税庁の法人番号検索サイトで調べられます)。

同様に委託者(支払者)も、自身(自社)のマイナンバーないし法人番号を記載します。

受託者本人に控えを交付する際には、個人情報保護の観点によりマイナンバーは削除しておきます。

支払調書の提出方法

提出は、個別票に総括票の表紙をつけて、書面、電磁的記録、e-Tax(国税電子申告・納税システム)のいずれかによります。

2019年度の提出合計枚数が100枚以上だと、2021年1月31日(期限)の提出より、電磁的記録ないしe-Tax(国税電子申告・納税システム)のみとなります。

会社が小さいうちは、専門業務に関する取引先も100社もないだろうとは思いますが、いずれ電子申請に統一されそうです。

まとめ(報酬、契約金、不動産使用料の支払調書)

取引先数が少ないと支払調書の対応をしていない会社も多いのではないでしょうか?

1月中、1か月以内に対応しなければならない

12月決算の会社だと、期末決算、個人の確定申告、支払調書対応の3重苦となりかねません。

期末日前より事前準備をしっかりと行っておく、既存の個人取引先のフォーマットを定めて毎年数値の更新のみで済ませる等、自身の業務リソースの手当を考えておく必要がありそうです。

12月分の歩合制報酬の計算、スポットの専門報酬の取得など、1月に並行して対応しなければいけないのかな。

内容としてはアニュアルのルーチン作業

やることは規定により既に決まっています。

年に1回の業務ですし、いかに手慣れたルーチン業務に落とし込めるか、事前と事後に業務を割り振れるかで、翌年以降の業務ボリュームが決まります。

できれば楽できるに越したことはありません。

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