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番外編⑤創業融資制度の種類、実際に日本政策金融公庫他より融資を受ける際のポイント

番外編⑤創業融資制度の種類、実際に日本政策金融公庫他より融資を受ける際のポイント

アフターコロナ、withコロナの今現在、めちゃめちゃ金融機関から借り入れしやすいです。

資本金の額がなくても、2~3年程度の業務年数と、ある程度の売上高さえあれば、初回のお付き合いの金融機関でも、え?いいの?という金額が借りられます。

しかも2年間の金利据え置きです。

低金利、マイナス金利の世の中なので、貸出から得られる金利収入の額など知れているのでしょうが、政府、特に金融庁から貸出を行うにあたり厳格な担保査定、事業査定はしないままでも、とにかく中小企業を中心に即座の貸出をして、直近の資金不安・倒産を防げ、最低1年間の事業上の資金手当てをしろとの厳命、目標融資額と各支店への割り当てが積み上がっているのでしょう。

融資自体の必要性、返済計画、返済能力はさておき、今現在がそのような金融の環境下なので、借入を考えているのなら、もしくは今後1~2年の資金不安を減らしたいと考えているのであれば、今すぐ借入をするべきです。

その上で、きっちりとした事業、投資、返済の計画を、じっくり腰を据えてファクトベースに考えながら、意味のある金融機関からの資金調達を実現しましょう。

借りるなら今です。

とはいってもむやみやたらに借入したら、後々大変になるのでご注意を

創業融資の上手な使い方(創業、起業、開業のケース)

本記事は、創業融資の中でも利便性の高い日本政策金融公庫、及び都道府県他の行政機関の用意している創業支援制度の実行方法と注意すべきポイントについて取り扱います。

創業融資とは

創業融資制度とその趣旨

創業融資とは、新設会社、個人事業主に対する創業融資を通じて、新たに事業を始める会社、事業開始後おおむね5~7年以内の会社に対して、過年度の会社業績や、個人としての経営実績がなくても、国民生活の活性化、安定化支援の名の下に無担保、低金利での事業資金貸付を行う制度です。

自己資金なしでも、事業の説明、創業スタート時の初期得意先及び販路の有無、審査の結果によっては、融資を受けることも可能です。

通常の金融機関一般借入に比較してセーフティーネットを設けることで審査が多少緩く設計されています。また、相談次第では、金利が若干上がりますが連帯保証をつけることなく、新規借入が可能となっています。

制度の趣旨としては、行政機関、政府系金融機関、民間金融機関の設計する各種創業融資制度により、新規の事業活動への挑戦を支援し、一般の融資制度では手を出しにくい開業初期の資金需要を賄うことで、結果として国民生活を活性化、安定化させることにあります。

要は、儲けはいったん度外視して、収支とんとんであれば良いとの政策上の金融支援制度です。新設会社の経営者、新規開業者は、まず創業融資制度を利用することができるか、会社設立の前後より考えていくことになります。

利用できる創業融資制度

会社の登記上の所在地により、利用できる制度、申請対象も変わります。

所在地によっては、創業融資の他にも、創業助成金、クラウドファンディング、メンター制度などを用意しているところもあります。各種セミナー、シンポジウムも盛んに開催されています。

申請にあたり必要となる手続及び用意するものは、所在地がどこであっても、どの金融機関に対してでもおよそ変わらないものと思いますので、以下の2つの制度について解説します。

日本政策金融公庫『新規開業資金(新企業育成貸付)』
東京都中小企業制度融資『創業』

いずれも、新規事業者にとって頼りになる制度です。

日本政策金融公庫『新規開業資金(新企業育成貸付)』

まず狙っていくは、日本政策金融公庫(以下、公庫)です。

新規開業資金(新企業育成貸付)とは

公庫における一事業として「国民生活事業」があり、小規模企業向けの小口資金や新規開業資金、教育ローンなどを提供しています。

公庫は、財務省所管の政府系金融機関(政策金融機関)の1つです。前身の国民生活金融公庫の事業を引き継いでおり、国民一般の資金調達支援を業務目的としています。

そのうち、創業融資制度については「新企業育成貸付」の括りの中でいくつかの種類を置いています。

新企業育成貸付の種類

新企業育成貸付には5つの種類があります。

・新規開業資金
・女性、若者/シニア起業家支援資金
・再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)
・新事業活動促進資金
・中小企業経営力強化資金

新規事業者の最初の登竜門が、「新規開業資金」です。

「新規開業資金」を利用できるのは、「雇用の創出を伴う事業を始める方」、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」又は「民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方」等の一定の要件に該当する方。

資金用途は、新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金及び運転資金で総額7,200万円、事業開始後7年以内までとなります。

想定されるケース

会社の設立時、開業時は原則自己資金で賄いますが、業容を拡大するにあたり、いずれ設備資金と運転資金が必要になってくるので、見込まれる収入及び支出と、返済可能原資を勘案しながら、金融機関借入による手元資金の拡充を考えることになります。

制度利用時は、おそらく初回取引かつ業績もまだないというケースが大半かと思います。前職から顧問先と営業地盤を引き継いでの独立開業、ないし有担保でもない限りは、初回貸付額も少額になります。

おそらくは、資本金の額を上限に500万円とか1000万円ぐらいかな。初回取引金額が500万円でもまずは公庫との融資取引を開始し、関係性の構築、期日通りの返済、及び1年目の実績(決算書)をもとに追加融資を狙っていくというのが王道です。

申請に必要となる書類と作り方のコツ

当たり前ですが、融資申込にあたって各種書類を準備する必要があります。

借入申込書…公庫指定のフォーマットです。
創業計画書…公庫指定のフォーマットです。必要資金の額と調達方法、売上高、売上原価、経費の科目別に、創業年度及び次年度(事業が軌道に乗った後)の事業見通しを記載します。
月別収支計画書…創業計画書を月次ベースに分解します(2期分)。
企業概要書…会社設立からの沿革、代表者の略歴、企業の動機、取扱商品、サービスの概要を記載します。経営者がどんな人物であるか見られます(面談において)。
設備投資計画書…事業用固定資産の導入予定がなくても、賃貸入居予定のオフィスビルの契約見込みを記載します。
資金繰り表…月別収支計画書の記載に加えて、経常外収支、財務収支の見込みを記載します。増資等の追加の資金調達予定があればその旨記載。
事業計画書…事業の詳細を文書で説明できているものがあると良いです。文書の棒読みではなく、内容を諳んじてプレゼンできるぐらいの精度にしておきたい。
その他必要となる資料…代表者の前職の給与明細書、源泉徴収票、借入金明細書、会社の預金通帳、定款の写し、賃貸借契約書(オフィス)、外注契約の見積書等。

各種書類で特有のものといえば、「創業計画書」、「企業概要書」、「資金繰り表」でしょうか。

「創業計画書」は、公庫指定のフォーマットのため工夫の余地も少ないのですが、金額面で粗い計画になっておらず、特に支出の記載で将来の支出見込みを精度高くブレイクダウンし、放漫な支出になっていないことが重要です。売上については、いずれにせよ見込み通りにはならず必ずぶれるので、想定見込みより高いぐらいにしておきます。

「企業概要書」は、これも公庫指定のフォーマットですが、なぜ事業を始めるに至ったかの動機、想い、それを実現するための方法の記載を、熱く、かといって重厚に書きすぎず簡潔にまとめるのが良さそうです。公庫の担当者も、審査担当者も人ですから、想いの入っていない会社、代表者を積極的には良くしてあげようとは思いづらいはず。

「資金繰り表」は、金融機関にとって受け入れやすいものを意識すると良いでしょう。具体的には、入金(売上)の見込みが12か月後まである程度見込まれる、多額の設備投資をする場合には本借入の影響下にある12か月内の時期を明示する、人件費、販売費等の経費の内訳を細かくブレイクダウンして明示するでしょうか。

申請におけるポイント

自分が金融機関の担当者の立場でも、数字面と事業環境、それを打破する方法(商品、サービスの優位性)について厳しく代表者に問いを突っ込むでしょうが、最終的には代表者の人となり、想いの具現化の方法、応援したい(できる)と思うか否かの総合判断です。

逆に言えば、そこさえうまく形にできれば細部はザルであっても通ります。担当者、審査担当者も自分なりのモノサシと、融資目標額、支店・個人ノルマはあるわけで、融資がモノになりそうなところに、また、回収漏れにならなさそうなところに優先的に対応するという、ただそれだけです。

結局のところ人となりがものを言います、というのは実にいい加減な結論で、正確には人となりに確信を持てるだけの、簡潔かつ明瞭な資料の記載とそれを裏付けるプレゼンです。テクニック的な問題かと思いますので、ひたすら練習しましょう。

東京都中小企業制度融資『創業』

公庫による創業融資が一段落したら、次は都道府県等の行政機関が用意している創業融資を狙います。

東京都中小企業制度融資『創業』とは

東京都産業労働局の有する創業融資制度です。制度内に2種類の融資制度があります。

「創業融資」として、都内に所在地を有する中小企業に対して新規の創業資金、創業後の事業資金の融資を実施します。

「東京都中小企業制度融資」として、新規の創業資金や創業後の事業資金を円滑に調達できるように、東京都、東京信用保証協会、金融機関の三者が協調して資金を供給する制度です。創業融資に比べて、融資金額を大きくすることが可能です。

具体的には、信用度の低い新設企業に対して、融資審査基準を緩和するべく、融資に当たって必要となる信用保証協会の信用保証料のうち1/2を東京都が負担。提携する地域の地銀、信用金庫と連携して、円滑な融資を進めます。

資金用途は、新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金及び運転資金で総額3,500万円、事業開始後5年以内までとなります。

融資・助成制度の種類

融資・助成制度には5つの種類があります。

・東京都中小企業制度融資『創業』
・女性・若者・シニア創業サポート事業
・クラウドファンディングを活用した資金調達支援
・「新規開業資金(新企業育成貸付)」などの各種開業資金(前記のもの)
・創業助成金(東京都中小企業振興公社)

通常の資金融資の他に、クラウドファンディングの業者手数料支援、助成金(返済義務なし)、各種セミナー、相談会や交流会を開催しています。

返済義務のない「創業助成金」に大変心惹かれますが、資本金の額や、事業規模、業種に制限があり、主に個人事業主を対象としているようです。

また、「女性・若者・シニア創業サポート事業」は、事業経験者、起業コンサルタント、メンターによる定期的な面談と、振り返りを通じた事業計画のブラッシュアップを行います。

これはこれで丁寧でありがたい制度ではありますが、融資実行までにかなりの時間がかかるので、融資額が大きく、かつスピードの速い「東京都中小企業制度」の申請をメインに考えていきます。

想定されるケース

公庫の創業融資制度による資金貸付を既に行っていると、必要書類の記載内容の流用ができ、また、融資実行の審査に当たり要検討となったポイント等が同じなので、手続を進めるのが容易です。

また、どの金融機関も初回お付き合いの金額は大きくないので、2行、3行とお付き合いしていく金融機関を増やしていく多行戦略は有用です。

金融機関ごとに貸付条件は異なるので、比較的好条件の金融機関、親身になってくれる金融機関をメインバンクと据えつつ、また、公庫はメインバンクとして長く付き合っていく性質の金融機関ではないのもあり、会社の実情、ステータスに応じてお付き合いをする金融機関を探し、増やしていくべきです。

いざとなってから門を叩くよりも、従前より会社の事業、実態、代表者の人となりを分かっていて、その上で必要な手当をしてくれる金融機関は複数あったほうが良いですね。

もちろん、彼らもビジネスなので、あまりにも会社の置かれた状況が厳しい時には、傘を貸してくれなくなるものとは思いますが。ドラマの見過ぎかもしれませんが、どうでしょう?

申請に必要となる書類と作り方のコツ

公庫の提出書類と記載内容の流用ができます。フォーマットは主に信用保証協会のフォーマットとなります。

また、審査先が信用保証協会と金融機関の2社となるので、2セットずつ用意するイメージです。1部でもコピーを共有してくれます。

信用保証委託申込書…信用保証協会のフォーマットです。
信用保証委託契約書…信用保証協会のフォーマットです。
創業計画書…公庫と同様です。創業計画書の中で、企業・商品・サービスの概要、資金投資計画とその調達方法、損益計画を記載します。会社設立からの沿革、代表者の略歴、企業の動機、取扱商品、サービスの概要も必要です。
事業計画書…事業の詳細を文書で説明できているものがあると良いです。文書の棒読みではなく、内容を諳んじてプレゼンできるぐらいの精度にしておきたい。
返済予定表…他に金融機関借入がある場合に提出が必要です。
その他必要となる資料…代表者の給与明細書、源泉徴収票、借入金明細書、会社の預金通帳、定款の写し、賃貸借契約書(オフィス)、外注契約の見積書等。

申請におけるポイント

実態としては、審査をパスするも融資額を決めるのも信用保証協会次第です。

金融機関も信用保証協会の審査結果、融資可能額の結果に従うといった感じで、1度ぐらいしかお会いすることのない信用保証協会の方の判断に従って、以降、金融機関の担当者とやり取りをしていくイメージです。

また、公庫の初回借入の際には代表者の連帯保証をつけないことも可能でしたが、ここからは無担保であっても連帯保証は必要となってきます。無理のない範囲、希望的観測をベースとした事業計画からは幾分保守的な資金借入金額とするべきでしょう。

あくまでも、創業融資は銀行借入ですので当然ながら返済義務があります。デッドファイナンスないし、営業キャッシュフローの範囲内で返済計画を立てるのが無難です。事業側に余裕が出てきたら、追加の資金借入を検討し、事業拡大を目指しましょう。

まとめ(創業融資制度の上手な使い方)

自分の想いを自分の言葉で話すということは、意外と難しいことです。伝えるのって大変だ

創業融資制度を知る

まずは、日本政策金融公庫。次が、行政機関の用意する各種創業融資制度。その次が、中小企業向けの資金融資制度です。

申込ステップ、担当者(メンター)との相談、申請書類、審査の対応などすべきことは異なります。重要なのは、どの段階においても、なぜ事業を始めるに至ったかの動機、想い、それを実現するための方法を明確に自分の言葉で話せることです。

多少テクニック的な面もありますが、1度1巡を経験できると、自分の言葉に自信がつくようになります。おまじない効果です。

長期的な目線での多行戦略、メインバンクの検討

銀行と外部株主は、数が多く、シェアが低く割合が似通っており、互いに牽制し合うのが理想とは言ったものですが、事業がうまくいっている限りにはとても良好な経営環境を経営者にもたらします。

一方で、事業があまりうまくいっていない場合には、どこも手を出しづらく、いざというときに支援を受けることができず大変困ることとなります。

したがって、創業融資、次の資金調達を考える段階から、複数の金融機関とのお付き合い、良好な関係性の構築をどのように進めるかを頭に入れつつ、自社の事業の置かれた環境、資金需要の段階、リスクの程度を勘案しながら、頼りとするべきメインバンクを考え始めることが重要です。

経営者は常に冷静かつ将来を見据えたクレバーでなければなりません。

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