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期末決算対応その⑤。法人税の確定申告書の書き方。自分で作成したい

期末決算対応その⑤。法人税の確定申告書の書き方。自分で作成したい

今でこそ、なんでもやります!の便利屋的ポジションで、フロントからミドル、バックまでヒイヒイ言いながらこなしていますが、元々、公認会計士試験勉強を始めたときから財務、会計、経理屋です。

そのあと、税理士法人に行ったり、財務コンサルをしたり、自分で起業して会社の経理実務を裏側で一手に引き受けたりして、実務の中で税務業務を叩き上げてきました。

自分自身の所得税の確定申告をするようになってからは、法人税、所得税、消費税と満遍なく取り扱うようになり、専門的な税法(資産税系)を除いて、通常の企業経営で登場するような税法には一式対応しています。国際税務も、昔の杵柄で多少分かります。

始めのうちは、複式簿記と別表計算のスタンスの違いに戸惑いを感じていましたが、会社の損益と税務処理の微妙な差を肌感で解るようになってからは税務への理解が一気に進み、最終的な税務対応を念頭に、普段の会計、経理業務、さらには業務的な意思決定を判断するに至っています。

今は大きな関心が、Web、アプリ、サービス、マーケティング、E-Commerceと広がるに連れて、バックエンド業務に関しては、最低限の労力で必要量のみを薄く広範に取り扱えるように、座標位置と視座を少しばかりずらした時間の使い方をしています。

そのため、税務業務へのスタンスも変わりつつあります。

具体的には、狭く専門性を意識して尖ることを抑え、税務会計に限らずバックエンド全般を取り扱うようにし、意識と重心を真ん中よりフロント寄りに置くという仕事への在り方です。

もちろん、自分で税務申告書、確定申告書を作成しますが、その場合は重厚かつ正確なものを作るというよりは、必要十分かつ普段の意思決定の段階で結果が見えており、後は型の整形で足りるような仕上げ方を好みます。

枝葉末節は気にせずに、幹の部分と会社経営に影響する大地に張る根を大事にしています
目次

法人税の確定申告書の書き方、自分で作るには、外部サポートが必要となるフェーズ

本記事は、法人税申告書、地方税、事業税の各申告書、確定申告書の書き方と、自分で作ってみることをイメージした最低限必要十分な範囲について取り扱います。

法人税の税務申告はいつまで内製のみで対応できるか

事業を始めて最初のうちは、それこそ何から何までやらないといけません。営業、制作、業務、管理、財務経理、税務申告も全て守備範囲内。

そのような環境下では、期末決算後の法人税の税務申告は考えるだけでげんなりします。よく分からないし、見るからに難しそうだし、できるだけ丸投げしてしまいたい。

それはある意味で正解であり、税務学習に充てる時間と、それ以外に充てる時間の取捨選択、重要性の捉え方次第です。もっと大事なことがあれば、そちらを優先する方がよいでしょう。

ただ、事業初期は、業務構造も取引関係もいたってシンプルなもの。難しい判断を迫られることはほとんど無いといっても過言ではありません。

定型的な取引、単純なビジネスモデル、金額も大きくなく、仮に処理に間違いがあったとしても、会社が傾くに至ることはまれでしょう。

であれば、事業が拡がり複雑性が増し、経営リスク、税務リスクが大きくなるまでは、ある程度内製化、自走化を目指し、手離れせざるを得ないまで事業を大きくしてから、ハイクラスのメンバーなり専門家なりを加えてリスクをケアする。

会社がシンプルなうちはこのような考え方で十分回ります。ただ、自分の必要な勉強量がかなり増えるので、寝る時間が無くなるかも。

そのような前提に立ち、自分を過剰業務より解放するまでにかかる時間、タイミング、トリガーを考えてみることとします。

なるべく代表、経理スタッフの内製化で対応したいフェーズ

① Cashに余裕がない(人を増やせない)
人件費は固定費、Cashの割り振りは切実です。会社に余裕が出てくるか、チームの執務リソースが足りなくなるまでは、どの地点まで今のチームで対応するか考えていきます。

② 単純な業務構造、定型的な取引、取引量が少ない
頭を悩ませるものが少なく、税未業務にかかるボリュームもたかが知れています。

販売、仕入、在庫、経費、人件費ぐらいであれば、もしくは、サービスラインが複数でなければ、会社経営はシンプルの繰り返しで成り立っています。

③ スタートアップ期で赤字である
そもそも税務上の論点がほとんどありません。税務申告書も途中まで記入していったところで、途中から0が並びます。

④ 身内(家族)で対応できる
青色専従者制度などをフルに活用し、必要となるリソーシングに対応します。学びは資産、むしろ良いことずくめです。

事業リスクの小さいうちはこのような対応でも十分可能です。

顧問会計事務所の契約を考えるフェーズ

① 日次、月次の業務処理でアドバイスが欲しい
事業が拡大し複雑性が増してくると、日常から都度の判断が問われます。判断によっては結果がぶれる、もしくは、想定しない方に向きかねないので、アドバイスレベルでの小さな関与が欲しいところです。

② 財務会計、税務以外の業務が増える
契約書の作成、労務対策、資金調達、補助金の申請等。会社業務全般からすれば1つ1つが大きなボリュームでもなく、ひっくるめて対応できると便利です。

いつの間にか見えないところで頻発し始めます。

③ 税務対策、節税対策が必要となる
会社のビジネスが回り始め、継続して利益が出始めると、安定した事業運営を図るための税務対策、節税対策が欠かせません。Cashを会社に留保できてこそ強い会社と言えます。

納税予測、キャッシュフロー管理、事業管理の精度向上と合わせて取り組むのが良いでしょう。

④ ベテランの経理担当者が雇えない
いるとこにはいますが、いないとこにはいません。チームメンバーの社内育成にも時間がかかってしまいますし、教えられる人が必要ですね。

必要なチームアップに、常に頭を悩ませることとなりがちです。

⑤ 消費税申告書の作成が増える
事業規模が急拡大しなければ、設立後2年間は免税事業者。それまでは法人税申告書だけで足りるので、1つの目安となります。

消費税申告書は、法人税や所得税に比べれば規定の理解、作成は難しくなく、あくまで業務量が増加するタイミングをトリガーとするという意味です。

リスクが中ぐらいであれば、まだ代表者と顧問会計事務所だけで税務申告業務は足りるでしょう。

スポットで専門的な会計事務所を考えるフェーズ

① 相続税(資産税)の検討
個人のケースと異なり、会社経営者の相続税の納税額を最小限にするには、企業グループの組織再編を行うことも念頭に、時間をかけて相続税(資産税)対策をしていくことです。

② 事業承継、M&A
会社法、株式価値評価、企業価値評価等の知識と実務経験、必要であればマッチング能力を備えている専門事務所がワンストップで提供していることが多いです。

③ 海外進出
クロスボーダーに対応している事務所、現地出張事務所を備えている事務所等。

④ 連結納税、組織再編
大企業、企業グループでの論点となります。中小企業にはあまり関係なさそう。

⑤ 税務調査
顧問会計事務所と相談したうえで、必要であれば税務調査専門の事務所へ。

法人税の確定申告書の書き方、自分で作る場合に最低限必要な明細書

申告書作成の業務フロー

つまるところ、シンプルな業務モデルの会社であれば、外注コスト、専門家への報酬をかけるほどではなく、税計算ソフトウェアを利用して税務申告まで自分で行うことで対応できます。

会社がより大きくなってきたら、リスクを勘案して外部の税務、会計の専門家と協力して税務対応にあたりましょう。その頃には、判断を含めて手が掛かるようになっているはずです。

一見すると税務申告は難しそうにも見えますが、入力手順、各別表間の関係、毎年入れる同じ項目とそれ以外の項目とは何かを把握できれば、あとは年に1回の作業に落ちていきます。

目標として、多少の処理に間違いがあってもいいので、1度申告書一式を自分で作ってみるのが良いでしょう。やってみてそれでも難しそうなら、その後でも知っている人に聞いてみればよいので。

法人税の確定申告書の添付資料の書き方、作成方法

法人税の確定申告書を作成するにあたって、同時に提出する添付資料をまず作成します。

財務会計をベースとする決算書、勘定科目明細、企業概要、企業グループの説明書となります。様式は決まっていますが、空欄を全部埋める、会社の情報を全部用意する(明らかにする)必要はありません。記載要領に例示されている必要な項目に限って記載するのみで、特に問題ありません。

・決算報告書
・事業概況説明書
・勘定科目内訳書
・減価償却計算書
・出資関係図等

個々の事項に関する明細書の書き方、作成方法

次に、別表六以降の個別の明細書から作成していきます。

どんな会社でもおよそ必要となる明細書を挙げると、例えば以下のものですね。

国税庁の様式一覧のページには尋常ではない数の様式が載っていますが、正直毎年よく使うものはわずかです。

・別表6(1) 所得税額の控除に関する明細書
作っても作らなくても結果(納税額)は大きく変わりません。保有する有価証券の配当金がかなりの金額でもなければ、なくてもいいかも。1,000円以下は誤差の範囲です。

・別表11(1の2) 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書
中小企業であれば、結局、法定繰入率を使うことが多くなりそう。

・別表15 交際費等の損金算入に関する明細書
およそ、どんな会社でもあるはず。

・別表16(1) 旧定額法又は定額法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書
およそ、どんな会社でもあるはず。

・別表16(2) 旧定率法又は定率法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書
およそ、どんな会社でもあるはず。

・別表16(7) 少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書
PCを買っていれば。

・別表16(8) 一括償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書
PCよりも高額の備品、家電製品を買っていれば。

つまるところ、貸倒引当金、交際費、固定資産の各明細書を作成して終わりです。

別表四 所得の金額の計算に関する明細書の書き方、作成方法

別表計算のPLと呼ばれるものです。通常は、税務上の加減算を行う調整項目も多くはないので、簡易様式を使って構いません。

決算書の税引後当期純利益の額から、会計上の利益・費用、税務上の利益・費用を、留保(時期のズレ。支払時に解消する)と、社外流出(規定上のズレ。支払済で解消しない)に分類して調整を行っていき、会計上の利益の金額から、税務上の所得金額、欠損金額に置き換えます。

こればっかりは、別表四(PL)の作り方を学習する必要があります。国税庁の公表している設例、学習書、Web記事を読んで模倣し、代表的な処理、頻出項目、定型処理を覚え、調整のパターンを身に付けます。楽はできませんね。

ちなみに、別表四で「留保」の加減調整とされた項目は、後述の別表五(一)に転記されます。そこは後ほど確認します。

別表七(一) 欠損金又は災害損失金の損金算入等に関する明細書の書き方、作成方法

過去と現在の損失を複数年度並べて処理します。

過去と当期の利益、欠損の相殺、損失の追加計上を行います。相殺しきれない場合は翌期に損失が繰り越されます。

会社が赤字であっても税務申告をするのは、欠損金を将来年度に持ち越すためです。将来、利益が出たときの税金を減らす効果があるため必ず行います。

別表五(一) 利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書の書き方、作成方法

別表計算のBSと呼ばれるものです。

別表四で「留保」の加減算調整をされた項目を転記し、将来に渡り会計と税務の差分が解消されるものを明らかにします。

別表五(BS)が、財務会計の感覚にないものであり、また、会計上触る機会の少ない資本項目に関する記載、計算となるので、している計算の意味をイメージできれば、途端に易しくなります。

別表四と並んで、法人税申告書作成への理解の障壁がここにあります。

別表一 各事業年度の所得に係る申告書、別表一次葉の書き方、作成方法

別表四の所得金額より、法人税額、地方法人税額を算定します。

別表一次葉で、所得金額から法人税の納税額を計算し、別表一に転記。所得税額控除、中間納税額を減算しながら、差引の確定法人税額を計算します。

別表五(二) 租税公課の納付状況等に関する明細書の書き方、作成方法

別表一の法人税額、地方法人税額を前述の別表五(一)、五(二)に転記します。

後ほど作成する、地方税、事業税の各納税額、印紙代を合わせて記入します。

別表二 同族会社等の判定に関する明細書の書き方、作成方法

株式会社の株主の構成を記載します。

みなし役員の判定、留保金課税に使われますが、資本金1億円以下の中小企業には今現在は関係ありません。

その他、申告に必要な書類の書き方、作成方法

「事業年度分の適用額明細書」に租税特別措置法の適用額を、区分して記入します。

よく使うのは、別表一次葉の800万円以下の所得に乗じる法人税料率、少額償却資産、保険積立金などでしょうか。

地方税申告書の書き方、作成方法

別表一の、地方法人税額の課税標準法人税額をもとに、会社が拠点を置いている都道府県、市町村別に用意されている、地方税申告書を作成します。

様式に従って法人税割、均等割をそれぞれ計算します。

事業税申告書の書き方、作成方法

同様に、会社の所得金額総額をもとに所得割、地方法人税額の課税標準法人税額をもとに、法人税割を計算します。

また、事務所の年度の設置期間をもとに均等割を計算します。赤字の会社でも均等割は発生します。

会社の事業規模によらず作成する内容は変わらない

1億円、30億円、100億円と異なる売上高、事業規模の会社の法人税申告書を見比べても、およそ書いてある内容に変わりはありません。

むしろ、事業構造が複雑化して、研究開発や事業用固定資産導入の特別控除を利用する、不動産業に進出して土地、建物の圧縮評価を利用する、節税対策として保険商品、リース商品を利用する等のフェーズに入っている会社の方が、事業規模によらずして申告書の枚数、調整項目は増え続けます。

毎年の税規定の改訂に非常に敏感になります。これは良いこと。

であれば、シンプルな事業モデルで会社を経営している限りにおいては、もしくは、事業規模が小さく金額的なリスクが小さいうちは、内製化のみでも対応は可能でしょう。実は、毎年ほとんど同じ項目の数字を更新しているだけです。

学びは資産、辛い継続的な学習が自分を逞しく育てます。

とはいえ、税務リスク対応は会社経営にとって重要です

ある程度自分で1度税務申告を最後までやってみるのは良いことです。そんな中、普段の業務で、または申告書を作成する折に、良いか悪いかの判断がつきかねる場面が往々にして生じます。

困ったら気軽に聞ける、税務申告に限らずなんでも相談できる、なんなら個人のアドバイスも打ち明けられる、そんな頼りになる存在が、公認会計士、税理士という士業の方々です。たぶんね!

まずは、必要な時に、必要な内容だけ小さいことからでも相談できる、そんな頼もしい味方がいることは会社経営を安定化させることに大きく資するでしょう。税務申告の場面はその最たるものです。

外部のサポートが必要なフェーズが来たら、まずは、ひょんなことでも、小さなことから会計事務所に相談してみるのが良いかと思います。

自分や会社との相性、必要の程度もその時々に応じて変わるものです。常日頃から便りになる味方を増やしていくことは、今後多いに役立つことでしょう。

まとめ(法人税の確定申告書作成の書き方、自分で作るためにするべきこと)

体系的に学ぶことの難しさ、実務で試行錯誤しながら、時には教えを乞いつつ身に付けていきます

1度は自分で最後まで作ってみてほしい

税務の考え方、業務意思決定への影響、リスクの所在を体感で理解していることは、今後の会社経営に大きく役立ちます。

最終的に出来る、出来ないは置いといて、必要な内容を一生懸命学習し、1度自分で税務申告を最後までやってみることは、とても良いことです。

その中で、改めて会社の問題点や、取るべき施策、自分として優先してやるべきことが、よりクリアになって見えてくると思います。

公認会計士、税理士は頼りになる味方

まずは、必要な時に、必要な内容だけ、小さいことからでも相談できる外部の専門家は頼もしい味方です。無料だと、なお良いのですが。

士業の在り方も変わってきており、税務、会計の専門家であるだけでなく、会社経営実務に関することであれば、よろず相談できて当たり前。それプラス、なにか別領域の付加価値があること。そのような、真摯なサポーターで在りたいと思っています。

そのような頼りになる仲間、パートナーのサポートに支えられて、事業をより大きく、逞しく育てていってください。

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