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番外編③経営に必要な契約書を雛形、テンプレートをベースに無料で作成するメソッド

番外編③経営に必要な契約書を雛形、テンプレートをベースに無料で作成するメソッド

弁護士の方と仕事上絡む機会が多いです

また、法学部の六法ゼミで別の隠れ試験勉強をしており、同級生、ゼミ生の1/3ぐらいが法曹関係に進んだため、同窓会なり同期会に行っても、どうしても現役弁護士、裁判官の方に囲まれます。

結婚式に呼ばれて出るとさらに酷い。だいたい自分の座っているテーブルがそれ一色で、「あ、違うんですね!」と言われること多数。

もうね、慣れました。「はい、違います!!」

弁護士の方と話すと安心することもあって、専門分野、得意分野とそうでない分野はあるようで、あくまで知っている程度の分野の話であれば、素人でもいい線を張れます。

税法、OECD、国際課税などは深く話ができます。そうでなくとも、会社法はとんとん(実務除く)、民法、労働法は昔の記憶を紐解きつつ、家族法、刑事法はやってないので全く分からない、そのような感じでいつも弁護士の方とえんやわんや競り合っています。

いざ、会社経営の実務の世界に落ちてくると、難しい法律の話は「契約書どうする?」といった話がメインとなります。

会社経営において設立の当初より頭を悩ませ、また事業が進むと加速度的に契約、契約書の数が増えていきます。

設立当初は当然ながら顧問弁護士の先生がいないか、もしくは、月の定額の法律顧問料でできる範囲など、弁護士の方のチャージレートからすれば、いいとこリーガルレビュー数件が関の山。

したがいまして、ある程度、契約書作成の形式面、実態を自分で補いつつ、リスクのある点に絞ってリーガルレビューをお願いをする必要が生じてきます。

今回の記事は、顧問法律事務所のチャージレートを損ねない程度に、契約書雛形、テンプレート、フォーマットを基に、契約書作成の形式面、実態を自身で担保するにはどうすれば良いか書いていきます。

チャージレートは士業によって全然違いますね。もう少し柔軟にお願いできれば

経営に必要な契約書の作成

自分で責任を取る必要に迫られる

勤め人をしていると、どの取引先と、またどんな取引を行うにおいても、契約、契約書はついて回ります。

とはいえ、自分でハンコを押すことはなく、社長(部門長)に回付して決裁して貰う、内容については法務部門ないし顧問法律事務所に送付してレビューして貰う、そんな感じでした。

自分で会社を設立して事業を行うと決めたとき、自分より上席の社長(部門長)、法務部門、顧問法律事務所(おそらく最初は)はいません。

なので、契約リスクの所在の面を見ながら、ある程度は自分で責任を取る必要が生じてきます。うーん、いきなり分からんぞ。

契約書の読解に自信のなかった当初は、そもそも問題のある/ないの判断が付かないので、意見をすることもなく右から左に受け流しておりました。

ある程度、契約を交わす経験をこなして、契約書の数を見るにつれて、一読してこれが足りない、この条文だと不十分、もう少し内容を加えようと全貌が見えてきます。

なぜならば、ほとんど同じことしか書かれていないことに気付くからです。

だったら、そこそこ自分でも作れるのでは?と妙な自信が湧いてくるように、そのうちなります。落とし穴もありそうですが。

自社で雛形、テンプレートをもとに契約書を用意する

取引先との販売、購買、業務委託、賃貸借、金銭貸付など先方が用意してくれるのであれば、一読して不都合な事実がなければ、契約書自体は先方の弁護士の方のチェックが入っているでしょうし(おそらくですが)、まずはよいのしょう。

最初はお任せ状態です。ただし、確認は大事。

事業のフェーズが進んでいくにつれて、常に新しい取引が生まれていくもの。

その都度、必要となる要件を明確にして、自社側で用意しないといけなくなります。

しかし、手元には何もなく、そもそも良い悪いの判断がつかない状態。

そのような契約初心者のレベルから、鵜の目鷹の目の先方に渡せる契約書を手配しなければなりません。

リスクとコストとの兼ね合いになりますが、お金を払えばしっかりしたものを作ってくれる専門家は当然ながらいますし、思うに、そこまで必要あるの?という事案もままあり。

そもそも、開業初期の金銭的な余裕があまりない時にはどうすればよいのでしょうか。

先人に無料で聞く、作成してみる(手間と責任は自分で負う)

リスクを勘案しつつ、そこまでケアの必要はなさそうと思った際には、無料で知っている人に聞くことをまず考えます。

知っている人、ずばり、Webにて“契約書”、“雛形”、“テンプレート”と検索し、契約書の必要な要件を備えていそうなテンプレートを目的別に複数集め、エッセンスを抽出したものを作ります。

前述の通り、どの契約書にも同じことが書かれています(多少作り手による癖はありますが…)。

なので、どんな契約書テンプレートにも書かれている要件を少なくとも備えていれば、ある程度は法的にも対抗できるものと考えます。

ちなみに、リスクが高そうな契約に関するものについては、もちろん、予算を立ててきっちりリーガルレビューを入れています。

契約書の必要となるケース(会社設立時より)

事業開始の初期より、契約書はついて回ります。

ざっと必要になりそうなものをリストアップしてみました。契約書と同時に必要となる最低限の各種規程類も合わせて記載しています。

①従業員関係

・雇用契約書(労働契約書)
・秘密保持契約書
・就業規則
・給与規程
・出張旅費規程
・退職金規程
・情報セキュリティ規程
・派遣契約書

契約書、規程と会社内部の物が多数であり、比較的雛形にて対応出来そうです。

雇用、退職関連では労働法のエッセンスは必要かと思います。

②金銭貸付(借入)

・金銭消費貸借契約書
・金銭借用証書
・保証契約書
・覚書
・出資契約書

金融機関、ベンチャーキャピタル等の資金関連の契約書であれば自社で用意する必要はありません。

個人間、親族間、親子会社間となると、やはりそれなりの要件を具備していないと後々の問題となりかねません。個々の背景と事情により様々です。

③売買契約

・売買基本契約書
・売買個別契約書
・商品販売契約書
・物品譲渡契約書
・商品販売委託契約書
・販売代理店契約書(特約販売店契約書)
・保証金契約書(代理店契約)
・土地建物売買契約書
・独占販売権契約書

売り手側なので、基本は自社側で準備します。

販売(譲渡)するモノの種類、規制を加味しないといけない場合、個別の業界ルールに従って作成しないといけない場合など種類は様々。

下の方にいくほどリスクが増えるので、必要であればリーガルレビューを入れましょう。

④業務委託契約

・業務委託契約書
・WEB制作委託契約書(WEB保守契約書)
・広告運用委託契約書
・個人代理店委託契約書
・共同開発契約書(業務提携契約書)
・貨物運送契約書
・制作物供給契約書

業務委託契約書は、用途別、種類別で様々作られるイメージです。

共通の基本の型を持っておき、必要に応じて実態をプラスした必要な条文を加味し、用途別、種類別に仕上げます。

細かく作り込まずに基本契約の形にするか、細かく業務に踏み込んでガチガチに契約文言で固めるかはそれぞれです。

⑤土地建物の賃貸借契約

・土地建物賃貸借契約書
・借地権付き賃貸借契約書
・社宅使用契約書

これも不動産仲介業者が用意します。

会社と株主、親子会社間、会社と従業員など、簡易なもので済む場合もありますが、基本的には必要な要件を備えた契約書にする必要があります。

⑥ソフトウェア、システム開発、商標・著作権関連

・ソフトウェア使用許諾契約書
・著作権譲渡契約書
・商標使用権許諾契約書
・開発業務委託契約書
・開発業務請負契約書
・SES契約書

システム開発では、著作権、二次的著作物、知的財産権など複雑になりがちです。

使用許諾と権利移転には参照法律に違いがあり、また、SESのような純粋な人出し契約だとさらに契約内容と文言が変わります。

⑦M&A関連

・株式譲渡契約書
・事業譲渡契約書
・営業譲渡契約書

契約による譲渡対象、動く金額が大きいのでその分リスクも大きいです。

問題があったときに訴訟になりやすい、契約の合意破棄した場合の補償の要件が必要となりかねないなど、安易に作成するのは危険かもしれません。

⑧その他

・コンソーシアム協定書
・パートナーシップ協定書
・株主間協定書
・映像出演承諾書
・サービス利用規約

必要に応じて、こんなのも作ります。

ケーススタディ(業務委託契約書の例)

形式面と実態を踏まえたドラフトレベルでは、およそこのような条文が具備されていれば必要かつ最低限の業務契約書となります。

細かいところは、リーガルの専門家にお任せしたいところです。

業務委託契約書の要件(業務請負との違いを明らかにする)

業務委託契約のエッセンスを抽出すると、例えばこのような要件が契約書に加味されているようです。

・業務委託契約の目的、内容
・業務の遂行方法
・成果の定め
・受託者の義務、担当者の配置
・知的財産の帰属
・報酬及び支払時期、費用負担
・契約期間
・再委託の可否
・秘密保持
・契約解除
・損害賠償
・反社会的勢力の排除
・禁止事項
・合意管轄、協議事項
・委託者及び受託者の合意

特に、業務委託契約と請負契約の違い、業務委託の用途による個別条文の差異(システム開発と経理委託では当然ながら異なる)、委託者及び受託者の合意及び紛争時の解決方法が明記してあることが重要です。

業務委託契約書(Sample)

Sampleの業務委託契約書を基に、要件がどのように契約書内に織り込まれているか確認します。

・業務委託契約の目的、内容(→)第1条
・業務の遂行方法(→)開発委託契約書には必要だが、会計、経理委託だと特段不要
・成果の定め(→)第2条(請負契約との違い)
・受託者の義務、担当者の配置(→)第2条
・知的財産の帰属(→)第2条
・報酬及び支払時期、費用負担(→)第3、4条
・契約期間(→)第5、6条

・再委託の可否(→)第7条
・秘密保持(→)第8条
・契約解除(→)第9条
・損害賠償(→)第10条

・反社会的勢力の排除(→)第11条
・禁止事項(→)第12条
・合意管轄、協議事項(→)第13、14条

・委託者及び受託者の合意(要は、署名押印です)

改めて見る感じ、エッセンスの最低限しか契約書には記載していないですが、要件は足りています。

他の用途の業務委託契約書であれば(例えばシステム開発等)、要員の稼働、補修の条件、知的財産権などの実態を担保する条文を個別に加えていくイメージです。

まとめ(契約書雛形、テンプレートによる自社作成)

パズルを組み合わせるかのように、条文と構成を組み立てていきます

雛形、テンプレートのエッセンスを抽出して、自分で契約書を用意する

Sampleにあげた業務委託契約書はおよそ99%自作(1%がレビュー)ですが、エッセンスを抽出すると、どこもかしこもおよそ同じような条文構成になります。

どちらかというと基本契約書に近く、詳細に踏み込んでいないので、より細かく要素を加えると、よりリスクを抑えることができそうです。

法律の専門家に丸投げすると費用が高い

これはリアルに感じているところで、形式面と実態までは自分自身でなるべく対応し、リーガルレビューを法律顧問契約の範囲内でお願いすればいいかなと思っています。

とはいえ、それでも念には念を入れるという経営姿勢も重要です。

軽快な取り組み姿勢と、慎重な意思決定の組み合わせこそが、会社を長く太く続けていくことの秘訣かと思います。

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